プロパンガスと都市ガスの違いとは?料金や一人暮らしでの相場など徹底比較!
普段、何気なく使っているプロパンガスと都市ガスは生活に欠かせないものです。しかし、それぞれの特徴やメリットを知らないという方も多いのではないでしょうか?今回は、プロパンガスと都市ガスの違いや特徴だけでなく、料金についても比較していきます。
目次
プロパンガスと都市ガスを比較!その違いとは?
ガス種 | プロパンガス | 都市ガス |
---|---|---|
供給方法 | ガスボンベを配給 | ガス導管による供給 |
熱量 | 約24,000Kcal/㎥ | 約11.000 Kcal/㎥ |
料金制度 | 以前から「自由料金制」のため、販売会社による違いが大きい | 2017年4月に自由化。 以前の規制料金からの変動は少なく、会社ごとの差も小さい |
事故率 | 重大事故はどちらもほぼなし | |
災害時復旧 | 約3日~1週間 | 約1か月~1カ月 |
プロパンガスと都市ガスは「供給方法」「熱量」「料金」「災害時復旧」の4点において大きな違いがあります。最も大きな違いとして供給方法が挙げられるでしょう。プロパンガスが各家庭にボンベで配送する「分散型供給」なのに対し、都市ガスはガス導管を使った「系統供給」です。
供給方法
都市ガス
都市ガスの供給は、地下等に埋設している導管を通して各ご家庭にガスを供給しています。
都市ガス供給までの流れ
- ガス元売り業者によって液化天然ガスを海外からタンカー(船)で輸入
- 海外から輸入された液化天然ガスをガスタンクへ貯蔵した後、都市ガスを製造
- 高圧導管を通して都市ガスの一部をガスホルダーへ貯蔵
- 地下の低圧導管を通して各ご家庭に供給
プロパンガス
プロパンガスの供給は、ガスの充てんされたボンベを配送、またはご家庭に設置されているバルク容器にガスを充てんすることでガスを供給しています。
プロパンガス供給までの流れ
- ガス元売業者によってプロパン(LP)ガスを海外からタンカー(船)で輸入
- 海外から輸入されたLPガスをガスタンクに備蓄
- ガスタンクからLPガスをタンクローリーへ移し、ガスボンベ充てん所へ輸送
- ガスボンベにLPガスを充てん。バルク供給はバルクローリーにLPガスを充てん
- 配送車でLPガスボンベを配送。バルク供給はバルクローリーでご家庭のバルク貯槽に⑤ LPガスを充てんし各ご家庭に供給
プロパンガスと都市ガスでは、消費者までのガスの供給方法が異なり、ガスの輸送や充てんなどにかかる人件費が料金差に影響しています。
またプロパンガスは、都市ガス供給のように地下埋設管の通っていない地域での供給に強く、屋外イベントでも使用されています。
熱量
ガス種 | 熱量(1㎥あたり) |
---|---|
プロパンガス | 約24,000kcal |
都市ガス | 約11,000kcal |
プロパンガスと都市ガスを比較した場合、プロパンガスは2.2倍ほど高い火力(熱量)があります。プロパンガスは安定した強い火力を出せるため、強い火力を求める飲食店などは都市ガスよりもプロパンガスを好んで利用することも。
注意が必要なのは両者の火力の違いにより、ガスの種類に合致したガス機器(ガスコンロ等)を使用しなければならない点です。ガスの種類を確認せず、ガスの種類と適合しないガス機器を使用した場合、人命に関わる大変危険な事故に繋がりかねないため気を付けましょう。
料金制度
プロパンガスは以前から自由料金制のため、ガス会社ごとに自由に料金の設定が可能であり、料金が異なります。そのため自由にガス会社を選ぶことができます。
しかし、プロパンガスを使用している賃貸物件では、料金の高さを理由に入居者の独断でガス会社を変更することはできませんので注意しましょう。賃貸物件の場合は、まず物件オーナー様や管理会社がガス会社の変更の可否を決定します。
都市ガスは2017年4月1日に自由化されて以降、プロパンガス同様に料金の選択が可能となりました。原則、ガス会社ごとに都市ガスの料金設定がされています。
設備設置
プロパンガス
プロパンガスは、ボンベを配送して一軒一軒独立したガスの供給をおこなうため、日本全国広範囲で使用できることがメリットとして挙げられます。
しかしその反面、ガスボンベの設置スペースが必要であることや、建造物のデザインに反して美観を損なう可能性があります。
都市ガス
都市ガスは、埋設導管で各ご家庭にガスを供給するため、導管スペースなどが必要なく、建造物の美観も損なわないことがメリットとして挙げられます。
しかし都市ガスの導管が自宅付近まで通っていなければ都市ガスを利用することができないため、供給範囲が限定的です。
事故率
ガス種 | ||
---|---|---|
プロパンガス | 都市ガス | |
平成28年度 | 0 | 0 |
平成27年度 | 1 | 2 |
平成26年度 | 1 | 1 |
平成25年度 | 0 | 3 |
参考:経済産業省「都市ガス事故、LPガス事故」
プロパンガスと都市ガス共に死亡者を出すような重大事故は40年の間に減少し、ここ10年では1桁台で推移しています。
事故件数が減少した背景には主に次のような理由があります。
- マイコンメーターの普及
ガス漏れなどで長時間ガスが流れ続けた場合にガスメーターがガスを自動遮断する - ヒューズガス栓の普及
ガスコンロと接続しているゴムホースの抜け落ちやガス栓の誤開放などでガスが流れた場合にガス栓のヒューズ機構で自動遮断する - 安全装置の普及
ガス機器の立ち消え安全装置や過熱防止装置などの安全装置が作動することでガスを自動遮断する
このようにガス機器の進化が安全性を高め、事故率の低い数値として表れています。
災害時の復旧
都市ガス復旧まで | プロパンガス復旧まで | |
---|---|---|
宮城県沖地震 | 31日 | 3日 |
釧路沖地震 | 23日 | 1日 |
阪神・淡路大震災 | 85日 | 14日 |
新潟県中越地震 | 53日 | 18日 |
参考:経済産業省「LPガスを安全に使うために、LPガスの基礎知識」
「分散型供給」であるプロパンガスは、多くのご家庭でガスの供給がボンベによって独立しているため、一戸ごとの点検となり、早期の復旧が可能です。
対して「系統型供給」の都市ガスは、数百戸以上に対する埋設配管等の安全確認が必要なため、復旧に相当の時間を要します。
実際に地震発生からの復旧は、プロパンガスで3日~2週間程度、都市ガスで1ヶ月から2ヶ月の期間を要しています。
あなたはどっち?都市ガスとプロパンガスの見分け方
ご契約のガスの種類が都市ガスとプロパンガスのどちらか不明な時はガスコンロやガスメーターで確認することができます。
都市ガスの場合
ガスコンロの電池収納部分や機器側面などに機器情報を記したシールが貼られています。
都市ガスのコンロは「都市ガス用」または「12A」・「13A」と表記されています。
メーターによる確認方法
ガスメーター本体に貼付されているシール上にメーターの大きさを表す「M6B」などと表記されていますが、その付近に「12 13A」と都市ガスのガス種が表記されています。
プロパンガスの場合
ガスコンロの電池収納部分や機器側面などに機器情報を記したシールが貼られています。
プロパンガスのコンロは「LPガス用」または「LP」・「LPG」と表記されています。
メーターによる確認
メーター表示付近に「LPG」とプロパンガスのガス種が表記されています。
プロパンガスと都市ガスの料金比較
都市ガス料金 | プロパンガス料金 | |
---|---|---|
平均使用量 | 33.6㎥ | 8.9㎥ |
平均料金 | 5,697円 | 6,217円 |
参考:日本生活協同組合連合会「電気ガス料金調査(2019年9月)」
日本生活協同組合連合会の調査によると、平均使用量で比較したプロパンガスと都市ガスの価格差は520円と公表されています。
しかしあくまで平均値の比較であるため、地域によって料金が異なること、またそもそも熱量の違いがあるため単純に比較ができません。もし平均値をご自分で比較する場合は、熱量が異なるため、以下のように換算して比較します。
- プロパンガス消費量(㎥)=都市ガス消費量(㎥)÷約2.2
- 都市ガス消費量(㎥)=プロパンガス消費量(㎥)×約2.2
上記①の例を挙げると、プロパンガス消費量が8.9㎥の場合、プロパンガスの消費量は都市ガス消費量の約2.2倍の消費量に相当するため、都市ガスの消費量=8.9×2.2≒19㎥と比較します。
上記②の例を挙げると、都市ガス消費量が33.6㎥の場合、都市ガスの消費量はプロパンガス消費量の約0.45倍の消費量に相当するため、プロパンガスの消費量=33.6×0.45≒15.1㎥と比較します。
都市ガスよりプロパンガスの料金の方が高い理由
- 価格が不透明
- 配送コスト・人件費がかかる
プロパンガスの料金が都市ガスよりも高い理由には主に上記2点が挙げられます。
価格が不透明
プロパンガスは、自由料金制のためガス会社によって料金が自由に設定でき、高めに設定している場合や未だに詳細が不透明である点は否めません。しかし、2017年の法改正によって消費者が納得できない不透明な部分は、ガス会社が適切に回答することが必要とされました。
ガス料金が気になる方はプロパンガスの料金について調べる、またはガス会社に説明を求めることをおすすめします。
配送コスト・人件費がかかる
プロパンガスは、一戸供給が基本であるため配送コストや人件費がかかる分、料金は都市ガスより高い傾向にあります。
しかしプロパンガスを利用している場合は、都市ガスへの切り替えではなく、ガス会社を見直すだけでも安くなる可能性が大いにあります。
都市ガスとプロパンガスの違いを知って、もっとお得に
今回はプロパンガスと都市ガスの違いを比較してご紹介しました。プロパンガスは都市ガスと比較して、ガス料金が高いことで、デメリットのイメージが先行しがちです。
しかしプロパンガスは、多くのメリットがあり、デメリットと捉えられる部分も軽減することができます。料金が高くプロパンガス会社の変更を検討したい場合は、当サイトへ気軽にご相談ください。
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