プロパンガス料金、もしかして高い?地域ごとの平均額と適正価格を知ろう
プロパンガスの料金が高いのか安いのかの判断は難しいものです。ここでは、プロパンガスの料金の決まり方についてご紹介したうえで、現在の価格と平均料金を比較できるように解説を加えていきます。プロパンガス会社を変更した方が良いか、検討する参考にしてみてください。
目次
プロパンガスの料金体系と平均料金
2017年4月に都市ガスは自由料金制に変わりましたが、プロパンガスはもともと自由料金制です。そのため、地域やガス会社によって料金が異なります。さらに同じガス会社であっても、家庭ごとに値段が変わることも。ガス会社ごとに料金がどうなっているかは、不透明で分からないことが多いのが実情です。
またプロパンガスの料金は変動するものです。いつでも同じ値段ではないことを知ったうえで料金体系がどうなっているのか、変動する場合はどのように変動するのかを把握しておきましょう。
プロパンガス料金の決まり方
最も一般的な二部料金制を例にとってプロパンガス料金の決まり方を見ていきましょう。プロパンガス料金の内訳は、基本料金と従量料金に分けることができます。
基本料金
ガスの基本料金は設備費や検診費用などが含まれる基本料金は、ガスの使用量に関わらず固定で払わなければいけないものです。
従量料金
従量料金は基本料金と違い、ガスの使用量に応じて支払い金額が変動します。従量単価という1㎥当たりの金額が設定されており、例えば10㎥のガスを使用した場合は(従量単価×10)で従量料金を求めることができます。
従量料金制度の種類
ガスの使用量に応じて支払う従量料金の計算根拠となる単価もガス会社により異なります。大きく分けて以下の3つです。
制度 | 内容 |
---|---|
固定制 | 使用量による単価はすべて同じです。 |
スライド制 | 従量単価が使用量により変わる仕組みです。一般的には使用量が増えるにつれて段階的に単価が下がります。 |
原料費調整制度 | プロパンガス (LPガス)の原料調達のコスト(CPなど)を従量単価に反映させる仕組みです。主にLPガス輸出価格+輸入船燃料費で算出され、原料価格が基本月に対して変動し毎月調整されます。 |
プロパンガスの料金体系
料金体系 | 比率 | 内容 | 特徴 |
---|---|---|---|
二部料金制 | 97.5% | 基本料金+従量料金 | 使用量に応じて料金が変動する |
三部料金制 | 0.9% | 基本料金+設備使用料金+従量料金 | 二部料金制では基本料金等に含めている設備使用料金を別項目として表している制度 |
最低責任使用料金制 | 1.6% | 最低責任使用料金+従量料金 | 最低使用量までは、使用量の多い少ないに関わらずガス料金は同じ |
参考:石油情報センター「全国統計(令和元年12月末)」
基本料金にはガスの設備費・保安・検診費等が、設備使用料金には設備のレンタル費用・ガス配管・ガス漏れ警報機の費用等が、最低責任使用料金には設備費・保安・検針費用・一定量までのガス使用料金等が含まれます。従量料金はガス使用量×従量単価で計算されます。
基本料金と従量単価それぞれの内訳も料金体系によって異なります。プロパンガスの料金体系は、ガス会社により異なりますが、大きくは上記3種類に分けることができます。冒頭で説明した二部料金制以外の2種類についても、それぞれ詳しく見ていきましょう。
二部料金制とは
97.5%のガス会社で採用されている最も一般的な料金制度です。
基本料金と従量料金を足して月々の料金を求めることができます。
料金体系 | 二部料金制 |
---|---|
比率 | 97.5% |
内容 | 基本料金 (ガスの設備費・保安・検針費用)+従量料金 (使用量×ガスの従量単価) |
特徴 | 使用量に応じて料金が変動する |
三部料金制とは
基本料金と設備使用料金を別に考え、月々の料金を確定させるのが三部料金制です。
基本料金と設備使用料金、従量料金を合計することで毎月の料金が算出されます。
料金体系 | 三部料金制 |
---|---|
比率 | 0.9% |
内容 | 基本料金 (ガスの設備費・保安・検針費用)+設備使用料金 (設備のレンタル費用・ガス配管・ガス漏れ警告機等の利用料)+従量料金 (使用量×従量単価) |
特徴 | 二部料金制では基本料金に含めている設備使用料金を別項目として表している制度 |
最低責任使用料金制とは
最低責任使用料金制はある一定までのガス使用量については金額が変わらないユニークな料金制度です。
しかし一定量を超えると、従量単価で計算し使用料金に上乗せされます。
料金体系 | 最低責任使用料金制 |
---|---|
比率 | 1.6% |
内容 | 最低責任使用料金 (設備費・保安・検針費用・一定量までのガス使用料金)+従量料金 (一定量を超えた分のガス使用量×従量単価) |
特徴 | 最低使用量までは、使用量の多い少ないに関わらずガス料金は同じ |
それぞれの料金体系におけるプロパンガスの平均料金について
石油情報センターは、石油製品の価格を調査して発表していますが、その中にプロパンガスの平均価格も発表されています。こちらの平均料金を見ると、どの料金体系が得で、どの料金体系が損かとは一概には言えないということが分かります。
全国平均 | 基本料金 | 家庭用小売価格(税込) | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
5㎥ | 10㎥ | 20㎥ | ||||||
最高値 | 平均値 | 最高値 | 平均値 | 最高値 | 平均値 | 最高値 | 平均値 | |
最低値 | 最低値 | 最低値 | 最低値 | |||||
二部料金制 | 2,900 | 1,856 | 7,926 | 4,928 | 12,958 | 7,885 | 22,512 | 13,465 |
430 | 3,190 | 4,730 | 7,810 | |||||
三部料金制 | 3,348 | 2,144 | 5,610 | 4,742 | 8,190 | 7,391 | 15,510 | 12,430 |
1,650 | 3,960 | 6,039 | 9,493 | |||||
最低責任使用料金制 | 3,648 | 1,969 | 7,295 | 4,988 | 12,536 | 8,050 | 20,992 | 13,761 |
820 | 3,609 | 5,655 | 9,415 |
参考:石油情報センター「全国平均価格(令和元年12月末)」
プロパンガスの地域ごとの平均
全国の平均料金が分かったところで、ご自身の料金と比較したくなるところですが、実は、プロパンガスの料金は地域により差があります。これは、プロパンガスを使う量や配送のしやすさが影響します。一般的に東京は安く、北海道は高い傾向にあります。
一例として、それぞれの地域における年平均の使用量をご紹介します。あくまで一時点のデータであるため、参考としてご確認ください。
北海道と東北地方の平均料金
都道府県 | 家庭用(税込) | ||
---|---|---|---|
5㎥ | 10㎥ | 20㎥ | |
北海道 | 6,180 | 9,403 | 16,603 |
青森 | 5,692 | 9,403 | 16,603 |
岩手 | 5,605 | 9,146 | 15,800 |
宮城 | 4,876 | 7,927 | 13,668 |
秋田 | 5,312 | 8,697 | 15,028 |
山形 | 5,561 | 9,149 | 16,042 |
福島 | 5,068 | 8,226 | 14,192 |
東北地方 | 5,313 | 8,687 | 15,098 |
関東甲信越地方の平均料金
都道府県 | 家庭用(税込) | ||
---|---|---|---|
5㎥ | 10㎥ | 20㎥ | |
茨城 | 4,557 | 7,314 | 12,465 |
栃木 | 4,513 | 7,276 | 12,436 |
群馬 | 4,575 | 7,313 | 12,520 |
埼玉 | 4,437 | 7,096 | 12,296 |
千葉 | 4,491 | 7,159 | 12,357 |
東京 | 4,461 | 7,123 | 12,394 |
(除伊豆諸島) | 4,420 | 7,041 | 12,236 |
神奈川 | 4,429 | 7,092 | 12,303 |
新潟 | 5,158 | 8,254 | 14,197 |
(除佐渡) | 5,077 | 8,081 | 13,864 |
長野 | 4,908 | 7,888 | 13,541 |
山梨 | 4,587 | 7,382 | 12,789 |
静岡 | 4,811 | 7,622 | 13,072 |
関東甲信越 | 4,611 | 7,377 | 12,698 |
中部地方の平均料金
都道府県 | 家庭用(税込) | ||
---|---|---|---|
5㎥ | 10㎥ | 20㎥ | |
愛知 | 4,629 | 7,246 | 12,261 |
岐阜 | 4,717 | 7,426 | 12,670 |
三重 | 4,636 | 7,290 | 12,286 |
富山 | 5,422 | 8,617 | 14,606 |
石川 | 5,174 | 8,302 | 14,183 |
中部地方 | 4,829 | 7,619 | 12,930 |
近畿地方の平均料金
都道府県 | 家庭用(税込) | ||
---|---|---|---|
5㎥ | 10㎥ | 20㎥ | |
福井 | 5,084 | 8,201 | 14,046 |
滋賀 | 4,779 | 7,596 | 12,857 |
京都 | 4,948 | 7,833 | 13,332 |
奈良 | 4,626 | 7,297 | 12,488 |
大阪 | 4,525 | 7,297 | 12,590 |
兵庫 | 5,074 | 8,008 | 13,387 |
和歌山 | 4,684 | 7,481 | 12,393 |
近畿地方 | 4,820 | 7,681 | 13,016 |
中国地方の平均料金
都道府県 | 家庭用(税込) | ||
---|---|---|---|
5㎥ | 10㎥ | 20㎥ | |
鳥取 | 5,294 | 8,526 | 14,750 |
島根 | 5,273 | 8,450 | 14,373 |
(除隠岐) | 5,284 | 8,485 | 14,438 |
岡山 | 5,225 | 8,216 | 13,697 |
広島 | 5,105 | 7,829 | 12,957 |
山口 | 5,302 | 8,465 | 14,359 |
中国地方 | 5,224 | 8,238 | 13,870 |
四国地方の平均料金
都道府県 | 家庭用(税込) | ||
---|---|---|---|
5㎥ | 10㎥ | 20㎥ | |
徳島 | 4,719 | 7,520 | 12,769 |
香川 | 4,969 | 7,988 | 13,896 |
愛媛 | 4,953 | 7,936 | 13,616 |
高知 | 4,745 | 7,558 | 12,762 |
四国地方 | 4,864 | 7,782 | 13,332 |
九州地方と沖縄の平均料金
都道府県 | 家庭用(税込) | ||
---|---|---|---|
5㎥ | 10㎥ | 20㎥ | |
福岡 | 4,992 | 7,841 | 12,907 |
佐賀 | 5,080 | 7,968 | 13,220 |
長崎 | 5,023 | 8,089 | 13,701 |
(除対馬五島) | 4,979 | 8,019 | 13,507 |
熊本 | 4,909 | 7,819 | 12,952 |
大分 | 4,739 | 7,573 | 12,646 |
宮崎 | 4,979 | 8,154 | 14,053 |
鹿児島 | 4,867 | 7,782 | 13,061 |
(除奄美熊毛) | 4,798 | 7,637 | 12,726 |
九州地方 | 4,939 | 7,869 | 13,147 |
沖縄 | 5,042 | 8,183 | 14,133 |
参考:石油情報センター「液化石油ガス価格分布状況(令和元年12月末)」
世帯人数ごとの平均料金
世帯人数ごとの平均データも掲載します。使用量によりガスの料金は変わるので、単に平均料金と比べても、自分が支払っている料金が高いか安いかを判断するのは難しいです。どれだけ使用するのかは、使用する人数によって変わります。まずは世帯人数別の平均料金と現在の料金を比較して、高いのか適正なのかの感度をつかんでください。ガスの使用量は統計を見る限り、夏と冬でも違ううえ、地域によっても違いますが、世帯別の月平均使用量を次の通りとします。
世帯人数 (使用量) |
1人暮らし (5㎥) |
2人暮らし (6.5㎥) |
3人暮らし (8.9㎥) |
4人暮らし (11.3㎥) |
---|---|---|---|---|
北海道 | 6,180円 | 8,034円 | 11,000円 | 13,966円 |
東北 | 5,313円 | 6,906円 | 9,457円 | 12,007円 |
関東甲信越 | 4,611円 | 5,994円 | 8,207円 | 10,420円 |
中部 | 4,829円 | 6,277円 | 8,595円 | 10,913円 |
近畿 | 4,820円 | 6,266円 | 8,579円 | 10,893円 |
中国 | 5,224円 | 6,791円 | 9,298円 | 11,806円 |
四国 | 4,864円 | 6,323円 | 8,657円 | 10,992円 |
九州 | 4,939円 | 6,420円 | 8,791円 | 11,162円 |
沖縄 | 5,042円 | 6,554円 | 8,974円 | 11,394円 |
参考:石油情報センター「平成18年度プロパンガス消費実態調査」
「液化石油ガス価格分布状況(令和元年12月末現在)」
ガスの使用量は、給湯器用の使用量が一番多く、入浴・追い炊きやシャワーの回数や量により変動します。世帯人数と使用量を見て、ガス料金が適正か比較してみてください。
プロパンガスの料金は高い?不安になったら料金診断
ここまでプロパンガスの平均料金をご紹介してきましたが、ご自身の使用料金がご紹介した平均料金と比べて高いことが分かった場合、その理由がどこにあるのかを検討したいものではないでしょうか。
プロパンガス料金が平均と比べて高いと感じたら、自動診断がおすすめです。
ガス料金が適正なのかを確認する手段の一つとして料金診断があります。プロパンガス料金が高いと感じた場合は、地域の平均料金と比べてどうかをまずは診断してみましょう。
プロパンガス料金が平均より高いのはなぜ
プロパンガスの平均料金をご紹介してきましたが、ご自身の使用料金がご紹介した平均料金と比べて高いことが分かった場合、その理由はどこにあるのでしょうか。検討すべきポイントをご紹介します。
地域差
自由料金制をとるプロパンガスには、一定の価格は存在しません。そのため地域差が生まれてしまいます。地域によっては複数のガス会社が存在せず、価格競争が起きないことも考えられます。また地域によっては配送する費用がかかり、結果として値段が高くなっていることも考えられるのです。
使用量単価が高く設定されている
料金を見直す場合、まず考えてみたいのは従量単価と基本料金をそれぞれ比較してみることです。それぞれの料金設定がそもそも高ければ、プロパンガスの料金は平均より高くなってしまいます。
料金設定については検針票を確認してもわからないこともあります。その場合はご利用中のガス会社にお問い合わせしてみましょう。
プロパンガスの料金を下げるには
プロパンガスは一律の料金にはなっていないという大前提のもとで、プロパンガスの料金を下げる方法として以下の2つが考えられます。
値下げ交渉
1つ目は、現在契約中のプロパンガス会社に値下げ交渉をすること。しかし値下げ交渉に応じてもらえない、ほとんど下がらない、あるいは、一時的には少し下がっても原料の高騰など様々な理由をつけて値上げされることも考えられます。
ガス会社自体を変更してしまう
2つ目はより安い料金を提示しているガス会社に変更することです。現在の料金が高いと感じている方ならかなりの確率でガス料金が下がります。新規に契約する場合には料金体系を確認し、適正価格の料金設定をしている会社であれば、従量単価が安くなり結果的に、ガス料金が下がります。
しかし賃貸のアパートやマンションの場合には、ガス会社の変更は一棟全体で行う必要があります。そのため、物件オーナー様の了解を得なければならないので注意しましょう。
プロパンガス料金の仕組みを理解!不安になったらすぐ料金診断を
プロパンガスの平均料金や地域と世帯人数別にご紹介しました。また、プロパンガスの料金がどのようにして決まるのかも併せて解説、どれくらいの価格が適正か、もっと安くできないかを検討する必要性があるのかも分かりましたね。プロパンガスの料金について知り、適正な料金体系のガス会社を選択するのにお役立てください。もし今すぐにでも価格を抑えたいという方はご相談を。
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