法改正で「プロパンガス会社乗り換え」はどう変わる？違いと注意点を紹介

プロパンガスの法律である「液化石油ガス法」の改正省令が2024年4月2日に公布され、設備貸与契約に関するルールが大幅に変更されました。

賃貸物件については今までのような設備貸与・無償貸与はできなくなりましたが、戸建の持ち家での設備貸与ではどのような点が変わるのか、具体的な違いや現状をご紹介いたします。

1 法改正による変更点
2 法改正で「プロパンガス乗り換え」はどう変わる？
- 2.1 設備貸与中の料金プランが「三部料金制」になる場合の具体例
3 現在結んでいる貸与契約はどうなるの？
4 戸建持ち家での「設備貸与契約」が今後できなくなる可能性は？
5 設備貸与・法改正の最新情報は「ガス屋の窓口」へお問い合わせください

法改正による変更点

以前に行われていたプロパンガスの特殊な商習慣（いわゆるプロパンガススキーム）では、よくガス会社から物件オーナー様へ、エアコンやWi-Fiなどガス消費とは関係のない設備の無償貸与が行われていましたが、法改正により賃貸物件における無償貸与は禁止となりました。法改正による変更点の概要は以下のとおりとなります。

①過大な営業行為の制限
②三部料金制の徹底（設備費用の外出し表示・計上禁止）
③プロパンガス料金等の情報提供

①③は2024年7月2日施行、②は2025年4月2日施行となります。設備貸与・無償貸与については賃貸物件では完全に禁止となりましたが、戸建持ち家への給湯器・ガス配管等の貸与契約は可能です（ただし、エアコン等のガス消費に関係のない設備貸与は、2025年4月2日以降禁止）。法改正の詳細については下記の記事をご参照ください。

液化石油ガス法改正のポイント

法改正で「プロパンガス乗り換え」はどう変わる？

既にお住まいの戸建住宅（持ち家）でのプロパンガス利用やプロパンガスの乗り換えについては、以下のような影響が考えられます。

料金プランが三部料金制に変更される
エアコン、ドアホンなどガス消費に関係のない設備貸与ができなくなる
設備貸与契約の満了後も解約金がかかる等、乗り換えを制限する契約がなくなる

プロパンガス会社の乗り換え事態に大きな影響は出ないと思われますが、設備貸与を希望する場合は今までと同じようにはできない可能性があります。2024年8月現在は、今までどおり設備貸与を行うガス会社と、一切設備貸与を行わないガス会社があるため、それを踏まえてガス会社乗り換えを検討する必要があります。

また三部料金制への変更によって、設備貸与が行われる場合も設備費用とガス料金が分かれた明細を確認できるようになるため、「よくわからないけどガス料金が高い」という状況が改善されます。

ただし、法改正の施行前に結ばれた貸与契約については、三部料金制となっても設備費用とガス料金とに分かれない可能性があるので注意しましょう。

設備貸与中の料金プランが「三部料金制」になる場合の具体例

今までの設備貸与・無償貸与でガス給湯器を設置した場合を例に、三部料金制になるとどのような変化が起こるか説明いたします。

従量単価が300円のご家庭でガス給湯器を無償貸与した場合、従量単価が設備費用が上乗せされた単価（通常の単価に+80円～+120円程度）となっていました。そうすると、検針票・請求明細にはすべてがガス料金として記載され、設備費用のせいで高いのか、ガス料金が高いのか分かりにくい状況でした。

それが三部料金制で表記されると、従量単価は300円のままで、従量料金とは別に「設備料金」等としてガス給湯器の費用が、検針票・請求明細に記載されます。料金の内訳が明記されることでガス料金の透明性が上がり、ガス会社の乗り換えも検討しやすくなります。

現在結んでいる貸与契約はどうなるの？

法改正後、設備費用の外出し表示（＝三部料金制）を求めるとされていますが、既に結んでいる設備貸与・無償貸与の契約については変わらず有効です。急に貸与契約が無効になり残存費用の支払いを求められる、といったことは通常ありません。

問題があるとすれば貸与契約が終了した後で、契約終了後も設備費用を上乗せしていた時の割高な従量単価のままで値下げされない可能性があります。そういった場合はガス代を20％～50％安くできる可能性が高いので、貸与契約の残り期間が2年以下の方や、契約は終わったけど料金が変わってない方は、ガス会社変更を検討するとガス代が大幅に削減できます。